「はじめに」のところで述べましたように、大工道具の本格的な研究は昭和40年代からで、まだ50年足らずしか経っていません。大変新しい学問分野です。近年、ようやく伝聞から脱して、史・資料に基づいた本格的な研究段階に入ったと言っていいでしょう。
近年、各地で「手斧始めの儀」が復活していることは喜ばしいことですが、「手斧始め」の奥に秘められた信仰をしっかりと受け止めてほしいとも思っています。
その意味からして、大工道具研究には建築工学的アプローチも非常に重要なことなのですが、建築工学的アプローチだけでは知り得ない民俗学の領域があり、今後、民俗学を取り込んだアプローチが、さらに重要な大工道具研究課題になることと思います。
(参考) 一、フリー百科事典ウィキペディア 一、中村雄三「増補 図説日本木工具史―日本建築工具の史的研究―」(1974) 一、船曳悦子論文「近現代における鉋の変遷について」(2011) 一、拙著「日本の大工道具職人」(2011) 一、拙著「続日本の大工道具職人」(2012)
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