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(五) 鏝柄の材質



 鏝の柄の材質については、江戸幕末以前の左官鏝はまだ発見されていませんので、どのような材質の木で作られていたのか分かりません。奥田信雄氏によると、京都では「元首から中首になって行くとき、古いものは丸柄、材質は杉」であったと指摘しますので、杉材であったかも知れません。

 さらに、奥田氏所蔵の江戸末期から明治の末まで鏝絵職人が使った中首や元首鏝の柄には、黒檀・紫檀・黒柿・漆塗りの柄とという堅木が付いていますが、これは一般的なものではなく、鏝絵職人の趣味趣向から付けたものと思います。


 いつの頃からかまだはっきりと分かりませんが、多分京都では角柄に変わっていく頃から、鏝の柄がヒノキで作られるようになっていったのではないかと推察します。ヒノキは水に強く、感触が柔らかい上に軽く、手の形によくなじむ材質であったからです。この頃は左官が鏝鍛冶に自ら注文し、柄は左官が自分で付けたり、大工・建具屋などに頼んで付けてもらっていて、柄が付いた左官鏝が市場に出回るのは、関西地方ではずっと後のことです。

 江戸ではどのような材質の木が柄に使われていたのか、史料が残されていないために分かりませんが、江戸末期の安政元年に金物屋を開業した西勘が、明治22年左官鏝の製造販売を始めた頃までには、東京でも同様にヒノキが鏝の柄に使われたのではないかと推察します。

 その後、全国の鏝生産の90%以上を占める三木では、鏝の柄にはヒノキが、名古屋にある建具工場などからでる廃材を利用して使われ続けてきました。しかし、今から10年ぐらい前に、ヒノキが費用面から鏝柄として使われなくなりました。20年ぐらい前から、ヒノキと併用して使用されてきた輸入材のアメリカヒノキ(米桧)が、その後鏝柄に主として使われて来ましたが、現在は、ヒノキと同じような性質を持つ輸入材のソ連ヒバが、鏝柄として使われています。



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