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《江戸目鋸歯の出現時期について》



江戸目1



はじめに



 現在、使われている大工用鋸に両刃鋸があります。この両刃鋸は、明治時代の初期に出現した日本独特の鋸で、鋸鍛冶銘が切られた鋸首部の左側が縦挽きで、右側が横挽きになっています。  

縦挽きの歯の形状は「ガガリ目」といい、ガリガリと鋸を縦挽きに引いたので「ガガリ目」と呼ばれるようになったとの話が伝えられています。この鋸歯の形状は、室町時代の中期頃に大陸から日本に伝来した二人挽き用の縦挽き鋸である大鋸(おが)の鋸歯から来ています。横挽きの歯の形状は「江戸目」といい、江戸時代に江戸で考案された鋸歯の形状とも伝えられています。


鋸歯の形状を古墳から出土した鋸やその後の時代に現れた鋸から年代順に見てみますと、横挽き用の「素歯」、小型縦挽き鋸用の「古代ガガリ目」、横挽き用の「箱屋目」、大型縦挽き鋸用の「ガガリ目」、縦横兼用の「イバラ目」、そして横挽き用の「江戸目」の順になります。


「素歯」、「箱屋目」、「ガガリ目」、「イバラ目」については、かなり調査・研究がされていますが、「江戸目」については、まだほとんどされていません。


 また、平成12年から10年を要して、奈良時代の759年に建てられた唐招提寺金堂の大修理が行われました。それを見学した鋸目立て職のある名人の人が、両刃の9寸鋸か、尺鋸の「江戸目」で挽いたような跡を見て、建てられた当時の鋸の成形技術と目立ての良さに驚いたとの話があります。もし建立当時に「江戸目」のような鋸歯があったとしたら、鋸歯形状の変遷史を書き換えてしまうことになるでしょう。このことも、「江戸目」を調査・研究することによって明らかにすることができます。

そこで、「江戸目鋸歯の出現時期について」と題して、私が調査・研究した成果を語ってみましょう。以下、敬称は略させて戴きます。



江戸目鋸歯の出現時期について 目次






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