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むすびに



赤沼博志氏による『会津手語り 【鍛冶屋編】』は、私が3月中旬に健康を害して緊急入院し、その月の末に退院して自宅静養中の4月の初めに、なんとなくパソコンでアマゾン書籍紹介にアクセスしたとき、この本を見つけ、すぐに購入した本です。


 想像したように、消えた会津刃物道具文化の全容を写真と文で語っていて、とくに大工道具文化を研究している私にとっても目新しいことも多々あり、大変興味を持って読ませていただきました。


 しかし、なぜあれほど栄えた会津の刃物道具文化か終焉を迎えたのかの歴史的考察が、まだしっかりと記載されているとは言えないのが残念です。この点に関しては、私は著書『大工道具文化論』(2015年)の「大工道具産地の歴史的考察」の中で会津若松も取り上げ、衰退した大きな要因を次のように指摘しました。

@戊辰戦争で会津若松が荒廃したこと

A明治以後、政治・経済の中心地となった東京から距離が遠く離れ、交通の便も悪かったこと

B和鋼から洋鋼への転換が遅れたこと

C大工道具などの刃物道具を担いで東京や東北地方やその他の地方に積極的に売り歩いて、地元の刃物道具産業を拡大しようとする越後商人集団のような会津商人集団が存在しなかったこと

などです。


この説には異論のある人たちもいるかも思いますが、多くの人たちによるこの分野の今後の研究を期待します。


 また、この本の終盤のページに、会津打ち刃物の痕跡を後世に伝え残そうとする「會津打ち刃物保存会」設立の活動が紹介されていますが、まだ遅くはありませんですので、この活動が大きく発展することを期待します。



平成31年4月吉日
   有限会社 スズキ金物店
     代表取締役 鈴木 俊昭




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