上蓋に墨書きされた文字は、たいへん達筆で、何と書かれているのかは読み辛いですが、この墨書きは「長運斎綱俊 曾孫 千代鶴運壽鉋 一寸八分」と記されているのです。長運斎綱俊とは、江戸時代後半の備前伝の刀を鍛った著名な刀匠で、米沢藩上杉家のお抱え刀鍛冶であった初代長運斎加藤綱俊(加藤八郎)のことです。
運壽鉋を鍛った2代目千代鶴太郎(加藤新太郎)からすると曽祖父で、新太郎は曾孫に当たります。ちなみに、2代目長運斎綱俊(加藤助一郎)にとって、新太郎は孫です。これらの加藤家の家族関係については、拙著「日本の大工道具職人」の中の第1章の1「千代鶴是秀の系譜」をご覧ください。
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