スズキ金物店メインイラスト

T O P 会社概要 商品紹介  焼 印合カギ D  I  Y 千代鶴系譜 道具の歴史リ ン ク





(一) 砥石の種類

砥石3

 砥石は、研ぐ工程から、まず最初の荒研ぎに使う「荒砥」、中仕上げ研ぎに使う「中砥」、最終仕上げ研ぎに使う「仕上砥(合砥)」の三種類に大別されます。これらは、砥石の粒子の大きさの違いから分類され、天然砥石の素材となるのは、主に堆積岩や凝灰岩などです。「荒砥」は砂岩から、「中砥」や「仕上砥」は粒子の細かい泥岩(粘板岩)から作られます。とくに放散虫の石英質骨格の堆積岩が上質の仕上砥になります。

 砥石の粒子の粗さ細かさを表す粒度で、JIS規格を参考にしてそれぞれの砥石を見ますと、
「荒砥」は、240番以下の極めて大きな砥粒です。早く研げますが、大まかに刃をつける程度です。出来上がった刃物を最初に研ぐ時や、刃が欠けた時などの修正に使用します。佐賀県唐津の笹口砥、長崎県大村の大村砥、和歌山県富田の紀州砥などが有名です。
「中砥」は、@、中目 500〜3000番  A、細目 3000〜5000番の砥粒の大きさで、包丁や与岐(斧)・手斧(ちょうな)・槍鉋などの大工道具の日常の研ぎは、これだけで十分で、研削と研磨を兼ねています。京都府亀山の青砥、熊本県天草の備水砥、愛媛県砥部の伊予砥、群馬県尾沢村砥沢の沼田砥、細目中砥である愛知県三河の名倉砥などが有名です。
「仕上砥」は「合砥」ともいい、5000番以上の超微細な砥粒の砥石です。細かい研磨力で、鋼を鏡面のように琢磨し、良い刃を研ぎ出します。刀剣や剃刀、鉋・鑿・切り出しなどの仕上げ研ぎに使います。京都の愛宕山周辺で採掘された鳴滝砥・中山砥・菖蒲砥、滋賀県高島の高島砥などが有名です。

研ぐ行為とは、実は、砥石の粒子によって刃に傷をつけることなのです。「荒砥」、「中砥」「仕上砥」と移る研ぎの行程は、粗い傷から細かい傷に変え、最後は鏡面にさせていくことなのです。


 中国、アジヤ諸国、欧米でも、それぞれ天然砥石が使用されて来ましたが、中目級の「中砥」が主だったようで、「荒砥」・「中砥」・「仕上砥」の三種類が狭い地域内で発見された形跡はありません。そのため、欧米では人造砥石やヤスリが発達しました。また、仕上げ研ぎには硬く焼けた良質の赤レンガも使用されました。

日本は、太古から地殻変動が盛んであったことから、地層の隆起という造山現象が各地で起こり、三種類の良質な天然砥石を採掘できる条件に恵まれました。その結果、研ぎの技術が向上し、刀剣などの刃物ばかりでなく、良く切れたり削ったりする大工道具の刃物の切れ味向上に、大いに貢献しました。





←前のページへ   このページのトップ   次のページへ→

トップイラスト

Copyright (C) 2006 Suzuki Kanamono. All Rights Reserved