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むすびに



 今回は「切出小刀の歴史」について語りました。この小型刃物は、大工道具のなかでも主力に使われたものではなく、また木工・木彫・竹細工などの職人の人たちによってよく使われて来たにもかかわらず、明治時代以前の「切出小刀」は、現物も、記録も、資料もほとんど残されていません。刀剣類と違って、「切出小刀」はそれだけ重要視されていなかった小型刃物であったと窺い知ることができます。

 この何の変哲もない、単なる小型刃物であった「切出小刀」に脚光を浴びせたのは千代鶴是秀で、彼の功績です。千代鶴是秀の「切出小刀」作りを遊びの一種とか、余技とか言う人もいますが、私はそうは思っていません。確かに高齢から来る鉋や鑿を鍛つ体力的な限界もあったでしょうが、これらの大工道具には必ず使用形態上の制約があり、また一般の人たちが好んで持つものではありません。

「切出小刀」には、それがなく、自由に創意工夫を加えて作り出す面白さがあります。それには、芸術的センスと高度な成型と鍛冶技術も伴います。千代鶴是秀は、この「切出小刀」作りに魅了され、強い意志を持って長い鍛冶人生から得た技術と芸術的センスをすべて投入し、新たな地平を切り開いたのです。


ともあれ本稿を読み、「切出小刀」の歴史と「切出小刀」作りに新たな地平を開いた千代鶴是秀、また彼の作り出した域に到達した刀匠2代目加藤長左衛門真平と鉋鍛冶2代目千代鶴貞秀の名を知って頂けたなら、本望とするところです。



平成28年8月吉日
   有限会社 スズキ金物店
     代表取締役 鈴木 俊昭


参考
一、 拙著『日本の大工道具職人』
一、 フリー百科事典『ウィキペディア』記載の「刀子」と「肥後守」
一、 インターネットに掲載の「三崎山の青銅刀子」・「鉛筆と日本の鉛筆工業の歴史」・身近な道具の近代史「アーカイブス」福岡市博物館・日本大百科全書の解説「切出し」




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