なぜ、鉋は糸裏が良いのでしょうか。それは、鉋がまだ1枚刃鉋であった江戸時代に遡ります。1枚刃鉋は、逆目でも削れるように、鉋台の刃口をできるだけ狭くし、木端返しと鉋裏が平行になるように台入れをします。そのため、その間に鉋屑が詰まりやすくなります。糸裏にすると、「裏スキ」により木端返しと鉋身との間の隙間が広がり、削った鉋屑が通り易くなる効果があるからです。2枚刃鉋になると、裏金によって逆目でも削りやすくする効果があるため、1枚刃鉋のように極端な糸裏にする必要もなく、また木端返しと鉋裏を平行にする必要もなくなりました。
|